2009年6月3日水曜日

憎しみ

人は憎しみをけっこう忘れてしまう。なぜか?幸福という多数が求める物にとって、じゃまだからである。人は憎しみを捨てて幸福にたどり着く。だけど、実際には憎いのである。

女の子は一人でたたずんでいた。僕はその背中を押してやりたくなる。どうせ生きていてもろくな事はあるまい。
「死にたいなら手伝うけど」
かけるのは声にしておいた。
「なに?変な人ね」
初めて見る少女の顔は割と美しく、僕は驚かされた。
「きれいな人は悩みなんてないんじゃないのか?」
「は?」
惚けた顔をしてぼっとしている。
「それって私のこと?」
「他にだれかいる?」
当たりを見回す僕。
「嫌みな人だわ、あなたって。」
フェンスに腕を置き、こちらをにらんできた。
「よくいわれる。」
「そうでしょうね」
なんだか訳が分からなくなって、僕は彼女にこう言ってみた。
「前世って信じる?」
「は?」
「前世」
「信じるわ」
「じゃあ、あの世は?」
「あの世がなければ前世はないんじゃない?」
「うん。ぼくはそう思う。」
「それじゃ、さいごの質問ね。」
「この世とあの世どっちがいい?」
かなり真剣な質問だった。だけど彼女は
「どっちもいやだわ。」
あきれたようにそう言った。どうもふざけているとおもわれたらしい。かなり心外。
「真面目に話そうよ」
ちょっとふくれてそう言ってみた。
「いやよ。あなたかなり気持ち悪いわ。」
「まぁ、それは追いといてさ」
「おいとかないで」
「一緒に自殺しようよ~♪」
「それならいいけど」
訳分からん。
「マジで?」
「どんな死に方?」
「焼死とか」
「却下。それはいや」
だよな。女性はけっこう容姿を気にするからな。
「じゃあ、凍死は?」
これならかなりきれいにのこるらしい。
「いつやる?」
「今度の日曜ということで」
「じゃ、ここで待ち合わせね」

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