2009年6月9日火曜日

オカルト少年

自殺に失敗した少年は、霊感にめざめた。彼はそれを駆使して、死を手に入れようとした。
霊感を使うと、死、特に自殺しそうな人を見つけやすかった。そう、この日も、
「自殺しよう・・・・・」
背の低い中学生くらいのこどもが30階のビルの上に立っている。その情景が頭に浮かんだ。
瞬間移動でそこへ移動する。ちょうど、霊感に目覚めたころ霊能力にも目覚めたのだ。
すたっという音を立てて到着した。驚いて、中学生は振り向く。
「よっ」
「だ、だれですか」
少年は突然現れた少年に驚きを隠せないようだった。
「いじめかい?」
「は?」
呆けた顔をしている。もはや、こちらを幽霊でも見るかのような目でみている。それは決して間違った認識ではないのだけれど。
「じさつの動機だよ」
一瞬虚をつかれた顔をしていたけれど、少年はゆがんだような、悟ったような表情を浮かべた。
「わかりますか?ぼくがいじめられっこだってこと、傍目にも明らかですか」
「まぁね」
「そのとおり。僕はいじめられてきました。小学校からずっと。でもそれだけが理由ってわけじゃないんです。それは星の数ほどある理由の一部にすぎないです。ただはっきりしていることは生きていても仕方がない。死んだほうがいいってことなんです。だからとめないでください。止めたら殺しもじさないですよ。」
「別にとめるなんて言ってないよ」
僕はかばんからカメラとパソコンをとりだした。不思議そうにそれを見ている少年。
「僕は人が死ぬ瞬間って好きなんだ。ほら、なかなかレアでしょ、そういう機会。もちろん、きみのいうとおり、じさつを止めるけんりなんてだれにもない。どんどん死んでくれたまえ」
少年は目を丸くしていた。今度はこっちが不思議そうな顔をする番だった。何をやっているのだろう?早く、死んでくれないと、遅刻しちゃうじゃないかぁ。
「僕のほかにもじさつをしようとする人っているんですか?」
「え?そりゃいっぱいいるよ。日本だけでも年間3まんにんがじさつしている」
「そうですか」
少年はこちらへやってきた。
「どした?」
「やめました。今日はきぶんがのらなくて」
僕は驚いた。今までじさつをやめた人間なんてそうそう見なかった。
「おい、そりゃ困るよ。ちゃんとしんでくれないと。じゃあ、幽霊になってみたらどうかな。」
「幽霊?」
「ああ、いいもんだぜ幽霊は。ぼくがいいっていったらとびオリンダ。そのタイミングなら幽霊になれるから」
「わかりました。こうですか?いちにのさん!」
「肺、死んだぁ!」
「うわぁ、本当に幽霊になっている、すごい」
少年の霊は出来立てほやほやの青白い光を発していた。僕は急いでそれを写真に収める。
「僕の死体が転がっている。ここ出て行ったほうがいいんじゃないですか?」
「え?なんで」
「自殺幇助罪になるかもしれませんよ」
「大丈夫、普通の人間につかまるようなレベルじゃないから、おれ」
「?」
とりあえず、幽霊になった少年に僕の家と連絡先を教えておくことにした。
「じゃ、気が向いたらおいでよ」
「うん、ありがとう」
「ハハ、どういたしました」
そしてぼくらは別れた。

0 件のコメント:

コメントを投稿